「検索されている言葉を調べたのに、どの記事から書けばよいか決められない」。企業サイトのSEOでは、候補語を集めた後に、この問題が起こりがちです。検索数の多い語を選んでも、自社が答えられる疑問や、既存ページの役割と合っていなければ、記事の方向は定まりません。

SEOキーワード選定は、言葉を一つ選んでタイトルに入れる作業ではありません。誰が何を知りたくて検索し、その疑問にサイト内のどのページで答えるかを決める作業です。この記事では、制作会社へ相談する担当者や、自社で記事を企画する担当者に向けて、候補語の集め方から既存記事との重複確認、公開後の見直しまでを5ステップで整理します。

SEOキーワード選定で最初に決めること

まず、サイトで増やしたい行動を明確にします。たとえば、制作相談を増やしたい場合でも、「すぐに依頼先を探している人」と「まず費用の決まり方を知りたい人」では、必要なページが違います。前者にはサービス内容や実績、相談方法が必要です。後者には費用を左右する条件や、見積もりを読むための説明が役立ちます。

候補語は、次の三つを結び付ける手がかりとして扱います。

Googleも、検索順位を操作するための内容より、読者の目的を満たす有用な内容を重視するよう案内しています。検索語だけを先に決めるのではなく、読者が読み終えたときに判断できることを先に言葉にしましょう。

ステップ1:対象読者と記事の目的を一文で書く

最初に「誰が」「どの場面で」「何を決めたいか」を一文にします。たとえば「初めて企業サイトを発注する担当者が、複数の見積もりを比べる前に必要な条件を整理したい」です。この一文があると、同じ「ホームページ制作」という語でも、制作手順、費用、制作会社選びのどれを扱うべきか判断しやすくなります。

目的は問い合わせだけに限定しなくても構いません。既存顧客の疑問を解消する、営業時に共有できる資料にする、公開後の運用を説明する、といった役割もあります。ただし、一つの記事にすべてを詰め込むと、主題がぼやけます。記事を読んだ人に取ってほしい次の行動は、一つか二つに絞っておきます。

ステップ2:顧客の質問から候補語を集める

最初の候補は、社内で実際に聞かれた質問から出します。問い合わせ、商談、見積もり時の確認事項、サポート窓口に届く相談を見直し、相手の言葉に近い形で記録してください。「保守」という社内用語より、「更新を誰に頼めるか」の方が、相手の悩みを表す場合もあります。

次に、公開済みのサイトがあればGoogle Search Consoleで、検索クエリと表示されたページを確認します。すでに表示されているのに説明が足りないテーマや、意図と違うページが表示されているテーマは、既存ページの改善候補です。Search Consoleを使った具体的な確認方法は、検索パフォーマンスの見方でも紹介しています。

新しい候補を広げる際は、Google広告のキーワードプランナーなども参考になります。ただし、キーワードプランナーの月間平均検索数は、指定した期間や地域などの条件に基づく広告向けの指標です。表示範囲や類似語の扱いを確認し、数字を「この記事で獲得できるアクセス数」と読み替えないようにします。また、画面にある「競合性」は広告主の競争状況を表し、自然検索での上位表示の難しさを直接示すものではありません。

ステップ3:検索結果を見て、求められる答えを分ける

候補語が集まったら、実際の検索結果で上位に出るページの種類と見出しを確認します。言葉が似ていても、調べたいことが同じとは限りません。

たとえば「ホームページ 制作 費用」は、費用が変わる要素や見積もりの内訳を知りたい検索かもしれません。「ホームページ 見積もり」は、依頼前に何を伝えるか、提示された条件をどう比べるかという疑問が中心かもしれません。反対に、助詞や表記だけが違い、求める答えが同じ語は、別々の記事に分ける必要がないこともあります。

検索結果を読むときは、次の点をメモします。

  1. 上位には解説記事、サービスページ、比較ページのどれが多いか
  2. 読者が最初に知りたい結論は何か
  3. 判断に必要な事例、手順、チェック項目は何か
  4. 自社が実際の経験や資料で補える情報は何か

上位ページの構成をそのまま写す必要はありません。読者の疑問を把握したうえで、自社が説明できる具体的な条件や、比較に使える整理方法を加えます。

ステップ4:候補語を既存ページに割り当てる

新しい記事を書く前に、サイト内の既存ページを確認します。すでに同じ疑問へ答えるページがあるなら、先に追記や構成の見直しを検討しましょう。近い内容の記事を増やすと、読者も運営側も、どれを読めばよいか分かりにくくなります。

判断の目安は「検索語が同じか」ではなく、読者の状況・知りたい答え・次の行動が同じかです。

候補語の例 主な疑問 ページの役割の例
ホームページ 制作 費用 何が費用を左右するのか 制作費用の記事で説明する
ホームページ 保守 公開後に何を確認・依頼するのか 保守の記事で説明する
ホームページ 制作 会社 どこへ依頼するか、何を比較するか 制作会社選びの記事からサービスページへ案内する

この表はページ分担の例であり、検索語とページを機械的に一対一で結び付けるルールではありません。同じ疑問なら一つのページで自然に説明し、答えが異なるならページを分けて相互に案内します。

ステップ5:検索数よりも、対応する価値と実行可能性で優先する

候補を並べたら、次の五つを確認して着手順を決めます。点数を細かく付けるより、「高・中・低」や「確認が必要」で十分です。

検索数が大きいテーマでも、提供していないサービスや説明できない領域なら優先度を下げます。反対に、検索数が小さく見える語でも、見積もり前の具体的な疑問に答えられ、既存ページと自然につながるなら取り組む価値があります。検索数だけで問い合わせ数や成果を予測することはできません。

そのまま使えるキーワード選定メモ

候補語ごとに、次の六項目を一行で記録すると、記事化する理由をチームで確認できます。

記録する項目 書く内容
候補語 顧客の言葉に近い検索語。表記ゆれも残す
読者の疑問 何を判断したくて検索するか
必要な答え 結論、比較条件、手順、事例のどれが必要か
対応ページ 新規記事、既存記事の追記、サービスページのいずれか
自社で示せる根拠 実績、制作工程、担当者の知見、確認表など
公開後の確認 Search Consoleで見るクエリ・ページ、次に案内するページ

たとえば「ホームページ 保守 費用」を見つけた場合、費用の数字だけを並べる前に、「更新、バックアップ、障害対応のどこまでを頼みたいか」を疑問として書きます。既存の保守記事がその答えを扱っていれば、まず記事を充実させる方がよいでしょう。別ページを作るなら、読者の判断がどう変わるかを説明できる状態にします。

公開後はクエリとページの組み合わせを見直す

記事を公開した時点では、想定した検索語で表示されるとは限りません。一定の期間を置いて、Search Consoleで「どのクエリに、どのページが表示されたか」を確認します。想定外の疑問で表示されているなら、説明不足がないか見直します。似た複数ページが同じ疑問を扱っているなら、役割分担や内部リンクを確認してください。

表示回数や平均掲載順位だけで成功・失敗を決めず、そのページが想定した読者の判断に役立っているかも見ます。問い合わせなどの行動を評価する場合は、計測できていることを先に確認しましょう。公開後の運用全体は、ホームページ公開後の運用・改善ガイドにまとめています。

よくある質問

一つのキーワードにつき、一記事が必要ですか?

必要ありません。表記が違っても同じ疑問なら、一つのページでまとめて答える方が読みやすい場合があります。逆に、同じ言葉でも調べる目的が大きく異なるなら、ページを分けることを検討します。

検索数が分からない語は対象外にすべきですか?

検索数だけでは判断できません。実際の顧客から繰り返し寄せられる質問なら、記事やサービスページで答える価値があります。調査ツールの数値がない場合は、その事実を記録したうえで、事業との関係や説明できる内容を確認します。

キーワードを選べば、検索順位は上がりますか?

選定だけで順位は保証されません。ページが検索者の疑問に答え、内容が正確で、サイト内から見つけやすいことが必要です。公開後も実際の表示クエリと読者の反応を確かめ、必要に応じて内容を更新します。

まとめ:一語を選ぶ前に、答える疑問とページを決める

SEOキーワード選定は、候補語を集めて検索数の順に並べる作業ではありません。対象読者を定め、検索結果で必要な答えを確認し、既存ページとの重複を避けながら、どのページがその疑問を担当するか決めます。

記事テーマが決まらないときは、候補語ごとに「誰の疑問か」「何を答えるか」「どのページで答えるか」を一行ずつ書いてみてください。サイト全体の情報構成から整理したい場合は、SEVEN PEBBLESのWebデザイン支援をご覧ください。

参考資料