AIで画像を作れるようになっても、企業サイトの写真をすべて置き換えるのは適切とは限りません。施工実績や社員紹介の画像には「これは実際の現場・人物か」という意味があります。一方、まだ形のないサービスの考え方を伝える図や記事サムネイルでは、生成画像が説明を助けることがあります。
判断の軸は「見栄え」だけではありません。その画像が事実の証拠として読まれるか、概念の説明として読まれるかを先に決めます。この記事では、企業サイトのページ用途ごとの使い分けと、画像を公開する前に行う表示・権利・アクセシビリティの確認を整理します。
画像を含めたサイト制作全体の進め方と公開前の確認項目は、親記事のAI時代のWEBサイト制作チェックリストで整理しています。本記事では、そのうち画像の用途選び、権利と誤認の確認、PC・スマートフォンでの表示確認を詳しく扱います。
最初に「証拠」か「説明」かを分ける
画像を選ぶ前に、担当者と制作側で次の3点を確認してください。
- 読者は、その画像を実際の人・商品・設備・納品物だと受け取るか。
- 画像がなくても、サービスの条件や実績を本文で正確に説明できるか。
- 生成画像を使う場合、実物と誤認させない表示・代替テキスト・掲載許可を用意できるか。
1に「はい」と答える画像は、実写・実物の撮影素材、または適切な権利と掲載許可を確認した資料を優先します。生成画像は実在の成果を記録する手段にはなりません。2に「はい」で、画像の役割が抽象的な説明なら、AI生成を候補にできます。これは当社が企業サイトの画像選定を考えるための編集上の判断軸であり、生成画像の利用を一律に認めたり禁じたりする法律上の線引きではありません。
ページ用途別:実写・生成イメージ・図解の判断表
| 掲載場所 | 第一候補 | AI生成画像を使うなら | 公開前に確かめること |
|---|---|---|---|
| 制作・施工実績、導入事例 | 掲載許可を得た実物・現場の写真 | 背景説明の概念図など、実績写真とは明確に分ける | 架空の完成物を「実績」に見せていないか。顧客名・ロゴ・撮影対象の許可はあるか |
| 社員紹介・採用ページ | 本人と社内の掲載確認を済ませた実写 | 働き方を説明するイメージに限り、実在の社員でないと分かる扱いにする | 生成された人物を社員として紹介していないか |
| 商品・設備・店舗の紹介 | 現物の形や状態を確認できる写真 | 利用場面の概念表現を、実物写真と区別して補助的に使う | 色、形、機能、規模を実物と誤認させないか |
| サービスの概念・将来像 | 図解またはイメージ画像 | 未完成の仕組みや抽象概念を説明する用途に使いやすい | 実在のオフィスや提供済み機能に見えるなら「イメージ」と明記できるか |
| 手順・比較・データの図解 | 確認済みの事実を基に人が設計した図 | 構図案や背景の作成を補助させ、数字・名称・矢印の意味は人が確定する | 図の文言、数値、順序が本文と一致するか。画像だけに重要情報を閉じ込めていないか |
| 記事・SNSのサムネイル | 主題が一目で分かる専用画像 | 概念を伝える背景やイラストに使い、見出しの文字は人が配置・校正する | 一覧と記事、PCとスマホで文字が切れず読めるか |
「AI画像らしく見えない」ことを品質目標にすると、実写と誤認される危険も増えます。特に実績、社員、商品で事実を伝える部分は、画像の出所を編集記録に残してください。生成画像を用いる場合でも、写真風の架空人物・架空店舗を掲載する意図と、読者がどう受け取るかを別々に確認します。
生成前・制作中・公開前で確認すること
生成前:素材とツールの条件を決める
発注者が画像を渡す場合、誰がその画像を使い、AIツールに入力してよいかを先に確認します。顧客から預かった写真、未公開の商品画像、社員の顔写真は、サイト掲載の許可と外部ツールへの入力許可を同一視できません。個人情報を含む入力では、利用目的やサービス提供者によるデータの扱いも確認します。個人情報保護委員会は、生成AIへ個人情報を含むプロンプトを入力する事業者に、利用目的の範囲や提供事業者の取扱いを確かめるよう注意喚起しています(公式資料)。
ツールごとの商用利用条件、入力画像の取扱い、生成物の利用条件も確認し、版と確認日を控えます。条件はサービスや契約によって変わるため、「AIで作ったから自由に使える」と決めつけません。
制作中:似た作品・誤った文字・事実を点検する
既存の作品や特定の作家の表現を再現させる指示、許可のない画像を似せるための入力は避けます。文化庁のAIと著作権に関するチェックリストは、業務利用者に対し、利用条件の確認、既存著作物との類似確認、生成過程の記録を挙げています。生成して検討する段階と、サイトで公開する段階では確認すべき行為も異なります。迷う素材は公開前に権利担当者や専門家へ確認します。
画像生成に文字まで任せた場合は、文字化け、誤字、存在しない商品名・機能名を一文字ずつ確認します。図表の数値や手順も原資料と照合し、説明の核となる文字は可能ならHTMLの見出しや本文として掲載します。W3Cは、読むための文字は画像化するより通常のテキストで提供する方が柔軟で、画像中にしかない文字には同じ内容の代替テキストが必要だと説明しています(W3Cの画像内テキスト解説)。
公開前:画像とページの意味を一致させる
本文で説明していない成果を写真風画像だけで示さないこと、必要なら「イメージ画像」と明記することを確認します。画像を掲載するページのタイトル・周辺文章・キャプションも整えます。Googleの画像SEOの公式資料は、画像を関連する本文の近くに置き、短く説明的なファイル名と文脈に合う代替テキストを使うよう案内しています。AIで作っただけで画像検索やAI検索に有利になるという根拠はありません。サイト全体の情報設計はAI検索に備える企業サイトの解説も参考にしてください。
当サイトで起きた「画像は完成、一覧で文字が切れる」問題
SEVEN PEBBLESの/mediaでは、文字の強弱を付けた16:9の記事サムネイルを作成した後、一覧ページの表示枠で左右の文字が切れました。画像自体だけでなく、WordPressテーマが出す画像サイズとCSSの表示方法が原因でした。2026年10月7日に変更した内容は次の通りです。
| 確認箇所 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 一覧で使う画像 | media-cardの760×520クロップ画像 |
確認時はmedium_largeの768×432で、横長の構図を保持 |
| PCの画像枠 | 横:縦がおよそ1.48:1 | 16:9 |
| スマートフォンの画像枠 | およそ1.4:1 | 16:9 |
| 枠内の表示 | object-fit: coverで余白なく切り取り、ホバー時に拡大 |
object-fit: containで全体を表示し、拡大を解除 |
変更後はMEDIA一覧の新記事3件で文字が収まること、2・3ページ目でも同じ表示方法になること、390px幅で横スクロールが出ないことを確認しました。これはサムネイルの文字切れを直した表示上の事例です。クリック率、検索順位、問い合わせ数が改善したという測定結果ではありません。
制作時点で画像に安全な余白を作ることと、掲載側でその余白を残して表示することは両方必要です。coverは写真の端を切って枠を埋める用途、containは画像全体を収める用途に向きます。文字が端に寄るサムネイルには、枠の比率・画像の比率・使用する画像派生サイズを一組として確認してください。リニューアルで画像URLや記事URLも変わる場合は、公開前後のSEO移行手順も併せて確認します。
PC・スマートフォンの画像QAチェック
公開前の確認は元画像だけで終えず、実際の掲載ページで行います。下の表は当サイトの修正経験をもとにした運用用チェックです。
| 見る場所 | PCで確認 | スマートフォンで確認 | 不合格時の直し方 |
|---|---|---|---|
| 一覧カード | 左右端の主語・数字・疑問符が切れていないか | 1列表示で文字が十分に読めるか | 画像の文字を内側へ寄せ、枠と出力画像の比率を揃える |
| 記事の大きな画像 | 見出しと絵が内容に合うか | 小さな文字が判読できるか、縦方向の余白が不自然でないか | 文字量を減らし、必要な説明は本文へ移す |
| 切り抜き | 人物・商品・図の要点が残るか | 別の縦横比で重要部分が消えないか | cover/containの選択、トリミング位置や派生画像を見直す |
| 代替テキスト | 画像が伝える情報・リンク先を説明しているか | 画面読み上げでも意味が通るか | 画像の役割に沿って書き直す。飾りだけなら空のaltを検討する |
| 表示速度 | 画像が大きすぎず、読み込みが滞らないか | モバイル回線を想定して表示を確認したか | 適切な画像サイズ・形式とレスポンシブ画像を用意する |
代替テキストは画像の用途で変わります。意味を伝える画像は短く内容を説明し、画像中にしかない文字はその文字を伝えます。見出しと完全に重複する飾り画像なら空のaltが適切な場合もあります。画像だけがリンクなら見た目より行き先を説明します。W3Cの代替テキスト判断ツリーを使い、実際の画面読み上げ確認は企業サイトのアクセシビリティ点検と合わせて行ってください。
Googleは画像検索向けに、<img src>で画像を見つけられること、レスポンシブ画像ではsrcの代替URLを残すこと、画質と読み込み速度の両立を勧めています。一方、検索結果のプレビュー画像は自動選択です。文字入りサムネイルを記事一覧で使うことと、構造化データやog:imageに指定する画像は分けて考えます。Googleは後者には、ページを代表し、極端な比率や文字入りを避けた画像を勧めています(Google画像SEO)。どの画像が表示されるかは保証できません。
公開判断を残すための最小記録
最終的に画像ごとに「掲載ページと用途」「実写・生成・図解の区別」「入力素材と許可の確認先」「利用ツールと条件の確認日」「類似確認の担当」「PC/スマホの表示確認」「代替テキスト」を1行で残します。後から差し替える際にも、なぜその画像を使ったかをたどれます。
企業サイトのAI生成画像は、何でも置き換える素材ではなく、実物の証拠を守りながら、伝わりにくい概念を補う選択肢として使います。画像の出所、読者が受け取る意味、掲載画面の3つが揃ったときに公開してください。
