ホームページをAIで翻訳すれば、多言語化の下書きを早く作れます。ただし企業サイトで公開するには、訳文が正しいだけでは足りません。サービスを提供する地域、問い合わせを受けられる言語、価格や条件、言語ごとのページURLまで決める必要があります。

最初に決めることは「何語にするか」よりも、誰がどのページで何を判断できるようにするかです。この記事では、AI翻訳を使う範囲と人の確認、検索から見つかるためのページ設計、公開後の更新を一つの確認表にまとめます。AIを使ったサイト制作全体の発注・検収はAI時代のWEBサイト制作の確認表を参照してください。

「読むための翻訳」と「言語別ページの公開」を分ける

ブラウザの翻訳機能や、ページ上で文字を置き換える機能は閲覧の助けになります。一方、対象言語の検索結果から自社ページへ来てほしいなら、言語ごとの公開URLを検討します。Google検索セントラルは各言語版に異なるURLを使い、対応する版をhreflangで示すことを推奨しています。Cookieやブラウザ設定だけで表示言語を切り替える方式では、全版を見つけられない場合があります(Google:多地域・多言語サイトの管理)。

翻訳ボタンを押せるだけで、外国語版の原稿を自社で管理・公開しているとは限りません。英語の検索からサービスを見つけてほしいなら、英語版に独立したURL、英語の本文・ナビゲーション、更新担当を用意できるか確かめます。検索流入が目的ではなく、既存顧客の閲覧補助だけが必要な場合は、全ページを複製する前に利用者が必要とする言語と重要ページを整理します。

訳す前に原稿と責任者をそろえる

日本語原稿が曖昧なまま翻訳すると、どの言語でも曖昧さが残ります。対象顧客・国や地域、提供できるサービス、対象外の条件、問い合わせ対応の可否を確認し、公開できる原資料を決めます。「日本国内のみ」「見積もりは個別確認」のような制約を訳文から落とさないためです。

商品名・会社名・資格名などの正式表記、訳さない語、数値・単位・通貨、連絡先、更新日を用語表にします。訳文の確認者は、日本語原稿の事実を確かめる事業担当者と、対象言語の意味・自然さを確かめられる人を分けます。法務・契約に関わる表現は責任部署の承認も必要です。AI出力や逆翻訳だけを最終承認にしません。

GoogleはAIによるコンテンツ作成そのものを一律に禁じていません。一方、利用者への価値を加えずに大量のページを生成する行為はスパムポリシーに抵触する可能性があると案内しています。機械翻訳だから必ず違反、と単純化せず、各ページが実際の利用者に役立ち、正確に読めるかで公開を判断します(Google:生成AIコンテンツのガイダンス)。

ページの種類ごとに翻訳・公開の条件を決める

次の表は対象範囲を決めるための例で、自社案件の実績値ではありません。対象言語、原稿の担当者、公開日を書き足してください。URLとhreflangは実際に対応する別言語ページを公開した場合の確認項目です。

スマートフォンでは、次の表を左右にスクロールして確認できます。

ページの種類 AI翻訳と人の確認 URL・言語版の関係 画面・フォームの検収
サービス・製品 AIで下訳。地域、提供範囲、数値、除外条件を事業担当者と対象言語の確認者が照合 対応URLを1ページずつ決め、公開した版だけhreflangに含める 見出し・料金表・CTAがスマホで読めるか。対象言語で相談を受けられるか
会社情報・実績 公式名称、所在地、実績の掲載許可と対象地域での説明を確認 訳語版があれば対になるURLを記録。未翻訳の実績へ無理に対応付けない 写真や図中の日本語、代替テキスト、連絡先を確認
FAQ・お知らせ 有効な回答・日付を原稿担当者が確認。期限の短い情報は更新体制を先に決める 未翻訳の項目を翻訳済みとして案内しない 質問から回答まで同じ言語で読めるか
規約・プライバシー AIは下訳の補助にとどめ、責任部署が原文との差と適用範囲を確認 地域ごとに文面が異なる場合、単なる言語違いとして機械的に対応付けない 同意文やリンク先が対象言語で理解できるか
問い合わせ・応募 項目名、入力例、エラー、自動返信と対応可能な言語を確認 言語版のページから適切なフォームへつなぐ 名前・住所・電話番号、文字化け、送信後表示、通知先を実送信で確認

翻訳を「文章の納品」で終わらせず、読者が行動するまでの条件を合わせます。W3Cは多言語サイトで、画像内の文字、フォームと保存先のUTF-8対応、名前・住所・日付形式の違い、対象言語へ移る明確なナビゲーションを挙げています(W3C:Internationalization Quick Tips)。企業サイトのAI生成画像の使い分けも、言語別の画像表現の点検に役立ちます。

URLとhreflangは公開した対応ページで確認する

日本語版/service/と英語版/en/service/を設ける場合、双方から対になるページへ移れるようにします。Googleの説明では、hreflangはHTML、HTTPヘッダー、XMLサイトマップのいずれかで設定でき、すべての言語版(自ページを含む)に同じ対応関係を示します。相互の指定が欠けると正しく解釈されない可能性があります(Google:ページのローカライズ版)。

日本語の製品Aから英語のトップページへ一律に飛ばす前に、英語の製品Aが存在するか確かめます。URL変更を伴うリニューアルなら、旧URLとの対応やリンクもホームページリニューアル時のSEO移行の手順で点検してください。

html要素のlang属性はページの言語をブラウザや支援技術に伝えます。W3CはHTMLの既定言語をhtml要素で宣言するよう案内しています。一方、Googleは検索上のページ言語を表示内容から判断します。訳文そのもの、lang、言語別URL、hreflangをそれぞれ確認します(W3C:Declaring language in HTML)。

公開前は訳文だけでなく、スマホと送信結果を見る

  1. 本文、タイトル、メニュー、ボタン、画像内文字、代替テキストが提供内容と一致する。
  2. 長い見出しやボタンが切れず、横スクロールなしで読める。文字の拡大時にも操作できる。
  3. 言語切替から同じ主題のページへ移れ、戻れる。自動転送で選択を奪わない。
  4. URLを直接開ける。公開対象が意図せず検索から除外されず、hreflangの対応先が実在する。
  5. フォームを対象言語の入力例で実送信し、エラー、完了画面、自動返信、社内通知、担当者まで確認する。

Googleは言語設定による自動転送ではすべての版をクロールできない場合があると説明し、利用者が言語を選べるリンクを勧めています。W3Cも各ページから対象言語の版へ移れるナビゲーションを案内しています。

公開後の更新は日本語原稿と訳語版を一組で管理する

サービス範囲や価格条件、問い合わせ先が変わったとき、日本語版だけを直すと別言語には古い案内が残ります。「原稿の変更を誰が検知するか」「どのページを再翻訳するか」「誰が再承認するか」「版ごとの更新日をどこに記録するか」を決めます。最初は重要なサービスページと問い合わせ導線など、維持できる範囲から始める方法があります。確認できない効果を見込み値で埋めず、公開URL・版・更新理由・確認者・確認日を残します。

よくある質問

AI翻訳したページは、そのまま公開できますか?

AI翻訳は下訳に使えますが、サービス条件、固有名詞、数値、法的な表現、問い合わせ先を原稿の責任者と対象言語を判断できる人が確認してから公開します。

全ページを同時に多言語化すべきですか?

必須ではありません。誰が何を知り、どの行動を取るためのページかを先に決め、更新し続けられる範囲を選びます。

langとhreflangは同じ設定ですか?

異なります。langはHTMLの文書や一部分の言語を示し、hreflangは検索エンジンへ対応する言語・地域別URLを知らせます。

まとめ

ホームページのAI翻訳は、原稿を対象言語にする工程の一部です。ページごとに、事実の責任者、対象言語の確認者、言語別URL、画面とフォームの検収、更新担当を決めてから進めます。

参照した一次資料(2026-10-09確認)