企業サイトのFAQは、質問をたくさん並べれば便利になるわけではありません。読者が迷う点を、サービス説明で先に答えるのか、短い一問一答にするのか、個別の問い合わせで扱うのかを決めることが出発点です。答えの原資料と更新担当がない質問は、掲載後に古くなるおそれがあります。
この記事はコーポレートサイトに必要な掲載内容のうち、FAQの役割と設計を詳しく説明します。
質問候補は、実際に受けた疑問から集める
営業・問い合わせ・サポートの担当者に、繰り返し説明している内容を聞きます。問い合わせ文をそのまま公開せず、個人情報や個別案件の事情を取り除き、共通の疑問に書き直します。サイト内検索などの実データがあれば候補に加えますが、確認できない検索回数や需要を推測で付けません。
質問ごとに「読者の次の行動」「回答の正本」「主管部署」「確認日」を記録します。まず重要なサービス本文に必要な説明を追加し、FAQは補足やページ間の道案内に使います。
サービス本文・FAQ・問い合わせを分ける判断表
次の表は、小規模な企業サイトを想定して本記事で作った設計例です。実際の問い合わせを集計した結果や、SEVEN PEBBLESの案件データではありません。
| 疑問の種類 | 最初に置く場所 | FAQに書く内容 | 根拠と更新の責任 |
|---|---|---|---|
| 全員に共通するサービスの内容・手順 | サービスページを正本にする | 短い答えと該当見出しへのリンク | サービス担当が仕様変更時に両方確認 |
| 条件で変わる費用・納期 | 料金・進行の説明ページ | 変動する条件を示し、個別見積もりへ案内。未確定額は書かない | 正式な価格表・営業ルールを主管者が確認 |
| 申込期限や受付状況 | 申込ページを正本にする | 最新の受付情報へリンクし、固定した古い日付を残さない | 受付担当が変更日に確認 |
| 個人情報や機密を含む個別相談 | 個別の問い合わせ窓口 | 一般的な相談方法だけ案内し、具体例を無断転記しない | 窓口責任者が公開範囲を判断 |
一問一答は短く、根拠と次の行動を明示する
質問文は利用者の言葉に近づけ、一つの質問で一つの判断に答えます。回答の最初に結論を置き、条件・例外がある場合は続けて書きます。「詳しくはこちら」だけでは行き先が分かりません。「料金が変わる条件を確認する」「導入手順を見る」のように、リンク先の意味が伝わる文言にします。W3CのWCAG解説も、リンクの目的を周辺文脈から理解できるよう求めています。
長い規約、詳細な仕様、更新頻度の高い条件をFAQだけに重複掲載すると不一致が起きやすくなります。正本のページへリンクし、FAQ側は要約と位置付けます。答えられないことは断言せず、必要な条件と相談先を明示します。
カテゴリ、開閉UI、スマートフォン表示を確認する
質問が増えたら、利用者が探す用語でカテゴリを分けます。「契約前」「利用中」「請求」など行動段階に沿う分類も候補です。開閉式にする場合は、キーボードで操作でき、開閉状態が支援技術へ伝わる実装を確認します。W3CのDisclosure Patternは、ボタンで開閉し、状態を aria-expanded で示す実装を説明しています。装飾的な開閉だけで回答が読めなくならないか、スマートフォンとキーボードで実際に確かめます。
回答の更新表を持ち、表示効果を過大評価しない
各回答に根拠となるページや社内原資料、主管者、最終確認日、変更の合図を持たせます。サービス改定、価格変更、受付停止があれば正本とFAQを一緒に確認します。日付だけを新しくして内容を放置しないようにします。
FAQの目的は、サイト内で読者の疑問に答えることです。Googleは2026年にFAQリッチリザルトの表示を終了し、関連文書も削除しました。FAQPage構造化データを付ければ検索結果で目立つ、順位が上がるといった前提で設計しないでください。
公開前チェック
- 実際の読者の疑問に対応し、個別情報を含めていないか
- サービス本文、FAQ、問い合わせの役割が重複していないか
- 回答に結論、必要な条件、次の行動があるか
- 原資料、主管者、確認日、見直しの合図を記録したか
- リンク文言、開閉UI、スマートフォン表示を確認したか
参照した一次資料
- W3C WCAG 2.2「Link Purpose (In Context)」:リンク先が分かる文言の判断に利用
- W3C WAI-ARIA Authoring Practices「Disclosure Pattern」:開閉UIの操作・状態表示に利用
- Google検索ドキュメント更新履歴:FAQリッチリザルト終了の確認に利用
資料確認日:2026年10月11日。判断表は資料を踏まえた本記事の編集上の提案です。
