「AIを使えば、ホームページを自社で作れるのでは」と考えたとき、判断したいのは制作ツールの名前よりも、公開する情報とサイトの動作を誰が確認し、公開後は誰が直すかです。構成案や原稿のたたき台はAIを使って自社で進められます。一方、サービスの事実確認、問い合わせフォームの動作、操作しやすさ、更新権限の管理には担当者が必要です。
この記事では、企業サイトを「自社で作る」「制作会社に依頼する」「一部だけ依頼する」のどれにするか、五つの判断軸で整理します。AI時代の制作工程全体を知りたい方は、親記事のAI時代のWEBサイト制作で発注前に決めることも参照してください。
結論:作り方は三択、公開責任は共通
小規模で更新担当者がいるサイトなら、自社で構成と原稿を作り、公開まで進める選択があります。問い合わせや採用など事業上重要な導線があり、社内に実装・検証の担当がいない場合は、制作会社と役割を分けた方が確認漏れを減らしやすくなります。既存システムとの連携や複数の担当者による運用が必要なら、最初から要件と検収方法を決めて依頼する方が進めやすいでしょう。これは費用や成果を保証する分類ではなく、担当できる作業と確認できる範囲を見極めるための整理です。
| 進め方 | 自社が主に担うこと | 外部に任せること | 先に確かめたい条件 |
|---|---|---|---|
| 自社で制作 | 目的、原稿、画像、実装、公開後の更新 | 必要時の専門的な点検 | 担当者が実機確認と修正を続けられるか |
| 自社と制作会社で分担 | 事業情報、原資料、承認、更新方針 | 設計、実装、フォームや表示の検証など合意した範囲 | 成果物・権限・検収項目の境界が明確か |
| 制作会社へ広く依頼 | 目的、事実確認、意思決定、最終承認 | 調査、設計、制作、公開作業、引き継ぎなど契約した範囲 | 公開後の更新担当とデータの保有者が決まっているか |
この表は公開資料を参考にした編集上の判断枠組みであり、SEVEN PEBBLESの実案件や効果測定の結果ではありません。
五つの判断軸で「自作」と「依頼」を分ける
1. 目的と成果:何を達成するページか
会社案内、サービス説明、問い合わせ獲得、採用では必要な情報が違います。まず「誰が、何を判断できればよいか」を一文にしてください。AIに目的を決めさせると、実際の顧客や事業の事情から離れた一般論になりやすいため、目的と優先順位は自社で決めます。制作会社へ依頼する場合も、この一文が設計の基準になります。
2. 原稿と素材:公開する事実を誰が保証するか
AIには、承認済みの資料から見出し案や説明の下書きを作らせられます。ただし、料金、提供範囲、実績、顧客名、画像の利用条件は、元資料と掲載許可に戻って人が確認します。GoogleもAI生成コンテンツについて、公開前の事実確認と、タイトルや画像の代替テキストを含む正確性の確認が重要だと説明しています。詳しい校正手順は企業サイトのAI原稿を公開する前の確認表にまとめています。
顧客情報や個人情報をAIサービスへ入力する前には、利用目的、サービス側での取扱い、社内の利用ルールを確認してください。個人情報保護委員会も生成AIサービスの利用について注意喚起しています。確認が済まない資料は入力せず、まず公開可能な情報や仮名化した例で構成を検討します。
3. 機能:見た目以外に動かすものがあるか
ページの試作ができても、フォーム送信、通知、権限、予約、外部サービス連携が期待どおりに動くとは限りません。例えば問い合わせフォームを置くなら、入力エラー、送信完了、通知先、返信担当、迷惑送信への対応まで確認対象にします。社内で再現・修正できない機能は、実装と検証を依頼する範囲に含めましょう。
4. 品質確認:実際に使って確かめられるか
画面の幅を変えた表示、キーボード操作、文字の読みやすさ、画像の説明、リンク先などは、完成画像を見るだけでは判断できません。W3Cは、評価ツールだけでアクセシビリティへの適合を判定することはできず、人による評価も必要だと説明しています。AIの出力や自動検査を出発点とし、実際の操作を含めた検収項目を用意します。
5. 運用:公開後に誰が直すか
サイトは公開後にも情報が変わります。料金や営業時間の変更、担当者の異動、フォームの通知先の変更を誰が反映するか決めておきます。制作を依頼するなら、ドメイン・サーバー・CMSの契約名義、管理者権限、バックアップと更新手順を受け取る条件も確認します。引き継ぎ項目はホームページ制作の納品チェックリストと照らし合わせられます。
AIと人の作業を一枚で分ける
AIを使う場合も、作業の流れを「自社が決める → AIで草案を作る → 人が検証して公開する」に分けると、どこで確認が必要か見えやすくなります。以下は制作工程を整理するための図で、特定のツールや制作会社の実績を示すものではありません。

自社の担当者が原資料と承認者を決め、AIの草案に採用する部分を選びます。実装を外部へ依頼する場合も、制作会社に渡すのは草案だけでなく、確認済みの事実、機能要件、検収方法です。これを分けておけば、AIが作った文章や画面を誰が直すのか曖昧になりません。
制作会社へ相談する前の一枚メモ
依頼範囲を決めかねている段階でも、次の項目を一枚に書くと相談が具体的になります。空欄は無理に埋めず、「誰がいつ決めるか」を添えてください。
| 項目 | 記入する内容 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| サイトの目的 | 誰に、何を判断・行動してほしいか | 対象ページと行動の導線を示す |
| 自社で用意する原資料 | サービス情報、写真、掲載許可、既存資料 | 出典と更新担当を付ける |
| AIを使う範囲 | 構成案、原稿草案、画像案、試作など | 入力できる資料と承認者を決める |
| 依頼したい範囲 | 設計、実装、フォーム、検証、公開、保守 | 納品物と検収方法を対応させる |
| 公開後の担当 | 更新、問い合わせ対応、権限、バックアップ | 担当者と引き継ぎ資料を決める |
要件をさらに整理したい場合は、ホームページ制作の要件定義書の作り方を使い、決定事項と未決事項を分けてください。
よくある質問
AIで作ったページはGoogle検索で不利になりますか?
AIを使ったという事実だけで品質を判断するのは適切ではありません。Googleは、AI生成コンテンツでも正確性、品質、関連性を重視し、価値を加えない大量生成に注意を促しています。自社の事実に基づく説明、読者の疑問への回答、公開前の確認を優先してください。上位表示やインデックス登録は保証されません。
AIで自作すれば制作費は必ず下がりますか?
必ず下がるとはいえません。ツール利用料だけでなく、原稿の確認、機能テスト、修正、運用に充てる自社の時間も含めて比較する必要があります。見積もりでは「何を自社が行い、何を依頼するか」と、公開後の対応範囲を同じ条件にして比べてください。
制作会社に頼むなら、AIを使ったことを伝えるべきですか?
草案や画像案を渡す場合は、何をAIで作り、どの事実と掲載許可を確認済みか伝えると、確認範囲を合わせやすくなります。未確認の出力を確定原稿として扱わず、原資料と承認担当をセットで共有してください。
まとめ
AIによって下書きや試作の選択肢は増えました。しかし、企業サイトで自作か外注かを決める基準は、公開する事実、動く機能、検収、更新の責任を誰が担えるかです。まず五つの判断軸で社内の担当範囲を決め、不足する専門作業だけを具体的に依頼してください。
参照した一次資料
- Google 検索セントラル「ウェブサイトで生成 AI によるコンテンツを使用するためのガイダンス」(2026年10月26日確認)
- W3C WAI「Evaluating Web Accessibility Overview」(2026年10月26日確認)
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2026年10月26日確認)
