要点:サービス紹介ページは、サービス名や強みを並べるだけでは、依頼を検討する人の判断材料になりません。「読者が何を確かめたいか」を書き出し、答えになる事実、その確認者、ページ内の掲載場所を対応づけると、必要な情報と未確認の情報を分けられます。
この記事は企業サイト内の一つのサービス紹介ページの原稿を作る担当者向けです。サイト全体で必要なページを決める段階なら、先にコーポレートサイトに必要なページと掲載内容の決め方を確認してください。ここでは、単一サービスを検討する人が一枚で判断できる説明を組み立てます。
最初に「読者が決めたいこと」を一文にする
原稿を書き始める前に、このページを読んだ人が判断できる状態を決めます。例えば「自社の案件が対応範囲に入るか分かり、相談前に必要な情報を準備できる」のように、読者の行動で表します。これは成果を保証する文ではなく、編集時の目標です。
想定読者を肩書だけで決めず、その人の状況を確認します。既存の問い合わせ、商談で繰り返された質問、営業担当や実務担当への聞き取りが手掛かりです。公共サービス向けの指針ですが、GOV.UK Service Standardも、利用者が解決したい問題と文脈の理解を重視しています。企業サイトへの当てはめは本記事の応用です。
原稿の前に4列の「確認マップ」を作る
次の表は、サービス紹介ページの原稿を作るために当記事で整理した作業用マップです。右の3列は、左の問いに対して社内で確認できる材料を探すための例であり、実在サービスの内容を示すものではありません。確認者の部署名も自社の役割に置き換えてください。
| 読者の問い | 掲載する確認済み材料の例 | 社内の確認者の例 | 掲載箇所 |
|---|---|---|---|
| 何を、どこまで依頼できるか | 提供作業、成果物、対象外の範囲 | サービス責任者・実務担当 | 冒頭、対応範囲 |
| 自社の状況でも利用できるか | 対象者、受付条件、対応地域など | サービス責任者 | 対象・対応条件 |
| 費用をどう判断すればよいか | 公開できる料金、または見積額を左右する条件 | 料金決定者・営業担当 | 料金の考え方 |
| 依頼後はどう進むか | 実際の工程、依頼者の準備、承認の節目 | 実務担当・営業担当 | 進め方 |
| 説明の根拠は何か | 掲載許可を得た事例、公開できる資料・資格の原資料 | 事業責任者・掲載許可担当 | 根拠・事例 |
| 次に何をすればよいか | 受け付ける相談内容、必要な情報、確認済みの対応手順 | 問い合わせ対応担当 | 相談案内 |
表を埋めるときは、資料名と情報の確認日も社内用の記録に残します。空欄を推測で埋めず、「未確認」「掲載不可」「更新待ち」を分けます。Googleのコンテンツ作成ガイドも、独自の情報や分析、明確な情報源、事実の正確さを自己評価の観点に挙げています。この表自体が検索順位を上げる仕組みという意味ではありません。
確認マップを一枚のページ原稿に変える
冒頭は対象・提供内容・対応範囲を短く示す
見出しの直後に、誰に何を提供するかを具体語で書きます。以下は実在サービスの説明ではなく、原稿を組み立てるための空欄付き書式です。
「[サービス名]は、[対象となる人・組織]が[解決したい課題]について、[実際に提供する作業]を依頼できるサービスです。対応範囲は[確認済みの範囲]です。」
空欄に入れるのは担当者が確認した内容だけです。「幅広く対応」「高品質」といった評価語より、どの依頼を扱うかが分かる語を優先します。社内で使うサービス名だけでは初見の人に伝わらない場合は、提供する作業を見出しにも添えます。
本文は含むこと・含まないことを対にする
提供内容を列挙するときは、成果物や作業の単位をそろえ、対象外の条件も近くに置きます。「企画」「制作」「運用」だけでは、原稿作成、撮影、公開後の更新のどこまで含むかを読者は判断できません。実際の契約・運用と一致する範囲を確認してから書きます。別途相談や追加見積もりになる条件も、確認できた範囲で明示してください。
料金が確定していなければ見積もりの条件を示す
公開を認められた料金やプランがあるなら、適用条件、含まれる作業、追加費用が生じる条件を併記します。定額を示せないサービスでは架空の「○円〜」を作らず、何によって見積額が変わるか、見積もりに何の情報が必要かを書きます。未決定の数字を価格として見せず、料金決定者の確認が終わるまで公開しない選択も必要です。
進め方は依頼者がすることも書く
「相談→提案→実施」とだけ並べるより、各段階で依頼者が提出する情報、確認する資料、判断する時点を説明します。期間や返信時刻は社内で守れる条件を確認できたときだけ記載します。確約できない場合は日数を作らず、次の連絡の主体と方法を確認して書きましょう。
根拠と相談の入口をつなぐ
事例、顧客名、写真、数字は、正確さと掲載許可を確認します。公開できる事例がないときは架空の成果を埋めず、作業範囲、確認方法、相談時にすり合わせる条件を具体的に示せます。最後に「何を相談できるか」「最初に伝えるとよい情報」を書き、実際の問い合わせ先につなげます。リンク文言も「こちら」ではなく行き先が分かる言葉にします。
FAQへ分ける前に本文で答える問いを見極める
対象範囲や料金条件など、依頼するかどうかの判断に直接関わることは本文で先に答えます。一方、複数のサービスに共通する細かな質問や、回答をまとめて更新するほうがよい内容はFAQページへ渡せます。質問の集め方と本文との役割分担は企業サイトのFAQページ設計で整理しています。
公開前に3通りの読み方で点検する
- 初見の検討者として:冒頭と見出しだけで対象、内容、対応範囲、次の行動が見つかるか。
- 社内の確認者として:料金、対象外、実績、期間、対応方法に根拠と確認者があるか。
- スマートフォンで:表が画面からはみ出さず、見出しで必要箇所へ移動でき、リンク先が文言から分かるか。
W3C WAIの文章作成指針は、内容を表す見出しの階層と、リンク先が分かる文言を推奨しています。装飾だけで見出しに見せず、ページ上の見出し要素として設定します。
公開後に同じ質問が繰り返されるなら、その答えが本文で見つけにくい可能性があります。質問を匿名化して記録し、事業内容や料金の変更に合わせて確認マップから原稿を見直してください。問い合わせ数や検索順位の改善を、この構成だけで保証するものではありません。
まとめ
一つのサービス紹介ページでは、「何を載せるか」と同時に「何を根拠に載せられるか」を決めます。読者の問い、確認済み材料、社内の確認者、掲載箇所を対応づけ、空欄を想像で埋めないことが、公開後も直せる原稿の出発点です。必要なページ全体の整理はコーポレートサイトの掲載内容の決め方に戻って確認できます。
参照した一次資料
下記を2026年10月12日に確認しました。公共サービス向け指針の企業サイトへの応用と、当記事の4列マップは独自の整理です。
