企業サイトの導入事例ページは、「この会社は自分たちに近い課題に対応できるか」を検討する人のために作ります。見栄えのよい成果の紹介だけでは、何を依頼し、どの条件で進めたのかが伝わりません。確認できる事実、顧客が公開を認めた範囲、読者の判断に役立つ説明をそろえることが先です。
サイト全体の制作工程はホームページリニューアルの進め方で整理しています。この記事は導入事例ページの選定、取材、掲載許可、根拠確認、公開後の更新に絞ります。実績を公開できない場合は架空の顧客事例を作らず、企業サイトに必要な掲載内容で紹介している支援範囲や進め方を示してください。
事例を選ぶ前に、読者が知りたい判断材料を決める
有名な顧客や大きな数字だけで事例を選ぶと、読者が自分の状況と比べられないことがあります。まず相談前の読者が確かめたい点を挙げます。
- 課題の近さ:どのような業務やサイト上の問題があったか。
- 対応の範囲:制作会社と顧客がそれぞれ何を担当したか。
- 選択の理由:複数の方法から、なぜその構成や運用を選んだか。
- 結果の条件:何を、どの期間・方法で確かめたか。未計測ならそのまま示す。
- 相談へのつながり:似た課題を持つ人が、何を相談できるか。
これらを説明できる原資料と掲載許可がそろう案件を優先します。Google検索セントラルのガイドも、読者に役立つ独自の情報や十分な説明、根拠の明示を自己点検の観点として挙げています。順位を保証するものではありません。
公開許可と根拠を一行で追える台帳を作る
次の表は実在の顧客案件ではなく編集用のひな形です。取材前に「何を公開したいか」を分け、取材後に確認先と承認範囲を埋めます。顧客企業の了承と、発言した個人・写真に写る個人の確認を同じ一欄で済ませないようにします。
スマートフォンでは、次の表を左右にスクロールして確認できます。
| 掲載候補 | 原資料・事実確認先 | 掲載許可で確かめる範囲 | 未確認の場合 |
|---|---|---|---|
| 顧客名・ロゴ | 正式名称、提供されたロゴデータ | 表記、使用媒体、公開期間、差し替え窓口 | 名前とロゴを載せない |
| 担当者の氏名・写真・コメント | 本人が確認した取材記録と写真 | 本人の了承、肩書、発言と写真の使用範囲 | 掲載を保留 |
| 課題と対応内容 | 要件整理、議事録、承認済み成果物 | 公開できる業務情報と守秘範囲 | 未承認の工程は省く |
| 効果や成果の数値 | 計測画面、集計条件、対象期間 | 数字と比較条件の公開 | 数値を出さず、確認できた変化に限定 |
| 画面・現場の画像 | 元画像、撮影・制作の経緯 | 被写体、著作権、写り込み、利用媒体 | 許可がない画像を使わない |
台帳には最終承認者、承認日、公開後の連絡先、見直し日も追加します。実際に公開する原稿・写真・数値の版を相手に確認してもらいます。氏名や顔写真などの個人情報を扱う場合は、利用目的や取扱いも確認してください。個人情報保護委員会のガイドラインは、利用目的をできる限り具体的に特定する考え方を示しています。企業名・ロゴの利用条件は契約と個別の取り決めを確認します。
取材では「成功したか」より、判断の流れを聞く
- 依頼前に何が困っていて、誰が困っていたか。
- ほかに検討した方法はあり、何を決め手にしたか。
- 発注側が用意した情報、制作側が担当した作業は何か。
- 公開後、実際に変わったことと、まだ評価できていないことは何か。
- 同じ状況の担当者に、検討前に伝えたい条件や注意点は何か。
答えられない項目は無理に埋めません。録音や書き起こしを社外ツールへ入力する範囲は、顧客との取り決めと情報管理方針で確認します。発言を短く編集する場合も意味が変わっていないか本人に確かめ、発言を作ったり別の人の言葉を合成したりしません。
1本のページは「課題→選択→実施→確認」の順で組み立てる
スマートフォンでは、次の表を左右にスクロールして確認できます。
| ページの部分 | 読者が知りたいこと | 確認する原資料 |
|---|---|---|
| 冒頭 | 自分と近い事例か。公開許可のある業種や目的を示す | 顧客確認済みの会社紹介・依頼内容 |
| 課題 | なぜ取り組んだか。推測を混ぜない | ヒアリング記録・要件整理 |
| 方針 | なぜこの方法か。選ばなかった案も含める | 提案資料・合意内容 |
| 実施 | どこまで担当したか。顧客側と制作側の役割を分ける | 契約範囲・検収済み成果物 |
| 確認 | 何が分かり、何が未評価か | 計測画面・顧客の確認 |
| 次の行動 | 自社なら何を相談できるか | 公開中のサービス情報 |
「売上が伸びた」と書くなら対象期間、比較対象、ほかの施策の影響を説明できるか確かめます。制作後に数字が変わったことと、制作だけが原因だったことは同じではありません。因果関係を示せないときは、確認できた事実に表現を狭めます。未計測なら「運用を開始した」など確認可能な経過を記載できます。
公開前にページと導線を実機で確認する
承認済みの原稿でも、WordPressに載せた後の表示は別に確認します。公開URLをPCとスマートフォンで開き、会社名・写真・コメント・数値が承認された版と一致するか、画像内に機密情報がないか点検します。見出し、代替テキスト、問い合わせ先への導線も見ます。
事例だけを読んで終わらないよう、関連するサービスページと制作の進め方へ、行き先が分かる言葉でリンクします。Googleのリンクに関するガイドも通常のリンクと説明的なリンク文言を推奨しています。リンク先が公開中か、本番画面で確かめてください。
顧客の感想を載せたからといって、自社への星評価の構造化データで検索結果に星が出るとは限りません。Googleは自社が管理する自社レビューについて対象条件を設けています。まず事実、説明、適切なリンクを優先します。
公開後は「更新できる事例」かを確認する
サービス内容、肩書、公開方針、計測値の定義が変われば事例も古くなります。公開時に更新担当と顧客への確認窓口、見直すきっかけを台帳へ残します。訂正や掲載停止の連絡を受けたとき、公開ページやSNS向け画像など同じ情報を出した場所を追えるようにします。
実績を出せない案件もあります。無理に匿名の成功例へ変えず、実際に提供できる作業範囲、進め方、確認方法を詳しく示す方が有益です。
よくある質問
顧客名を伏せれば、許可なしで公開できますか?
匿名化しても業種、地域、画面、発言の組み合わせから特定できる場合があります。契約上の守秘範囲も別に確認が必要です。具体的な公開範囲を確認できないなら掲載を見送ります。
成果の数字がない事例は載せる意味がありますか?
課題、採用した方針、顧客と制作側の役割、公開後の確認方法を具体的に説明できれば判断材料になります。未計測の効果を断定しないことが条件です。
まとめ
導入事例の作り方は、見出しの型を埋める前に「誰のどんな判断を助けるか」を決め、主張ごとの根拠と公開許可を確認することから始まります。承認された版で公開し、公開後の更新経路も残します。
